ウイスキーの歴史(アメリカン・ウイスキー③)

2015.06.10.


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部長 月田です。

写真はメーカーズマークの限定品(当店では販売終了)「46」。

この数字は、ウイスキーの原酒を醸造する際に使う樽の焦げ目の色を業者に指定するときに使うものです。

元々は偶然に焦げていた樽で醸造したことでできた”バーボン・ウイスキー”の進化が、こんなことでもわかります。

今日は「アメリカン・ウイスキー」について深く掘り下げていきます。

 

 

 【アメリカン・ウイスキーの定義】

 密造からでき独自の製法で発展してきたアメリカン・ウイスキー。現在のアメリカにおけるウイスキーの定義とは、

「穀物を原料にし、アルコール分95度未満で蒸留した後、オーク樽で熟成し、アルコール分40度以上で瓶詰されたもの」と規定しています。また、蒸留度数が95%以上の場合は、源良が同じでもグレーン・スピリッツといわれています。

 

【アメリカン・ウイスキー、タイプは4つ】

(1)ストレート・ウイスキー

  ストレート・ウイスキーとは、アルコール度数80度以下で蒸留し、コーン・ウイスキーを除き、ホワイト・オークの新樽の内側をチャー(焼く)した樽で最低2年貯蔵したウイスキー。内側を焼くことによって、ストレート・ウイスキー独特の個性の強い、香味の華やかな風味が生まれます。 ストレート・ウイスキーは、アメリカのウイスキー生産量の約半数を占めています。が、そのほとんどはストレート・バーボン・ウイスキーです。

(2)ブレンデッド・ストレート・ウイスキー~ストレート・ウイスキー同士をブレンドしたウイスキーをいいます。

(3)ブレンデッド・ウイスキー~バーボン・ウイスキーとともに、アメリカでポピュラーなウイスキー。

カナダで開発され、禁酒法後、アメリカ市場に広がりました。軽快な口当たりが高い人気を得ています。

(4)ライト・ウイスキー~近年のライト嗜好の中で生まれました。チャー(焼く)をしない樽で貯蔵したウイスキー。

 

【バーボンの名前の由来】

 バーボンの語源は、フランス語のブルボン王朝に由来します。18世紀、フランスは植民地問題でイギリスと対立し、アメリカ独立戦争の引き金となりました。このとき、フランス国王ルイ16世が、アメリカの独立派を支援し、イギリスとの戦いに加わりました。

 このため、独立後、アメリカ合衆国はその支援に感激して、ルイ王朝のブルボン家の名をケンタッキーの地名に残し、バーボン郡を作りました。現在では、当時よりだいぶ小さくなりましたが、ケンタッキー州のひとつの郡として残り、ウイスキーの呼び名として定着しました。

 

【テネシー・ウイスキーは、バーボン?】

テネシー・ウイスキーの代表選手はかの有名な「ジャック・ダニエル」。

何が違うのかといえば、テネシー・ウイスキーとは、テネシーで作られるウイスキーのことを指しますが、法律上はストレート・バーボン・ウイスキーです。だが、その製法と風味の違いによりこの名で呼ばれています。

テネシー・ウイスキーは、蒸留されたばかりのストレート・バーボン・ウイスキー原酒を樽熟成する前にサトウカエデ(ジュガー・メイプル)で作った木炭を細かく砕いて、深さ3.6mもある巨大な大樽に詰め、1滴、1滴時間をかけてろ過します。これによりフゼール油が取り除かれる一方で、サトウカエデの木炭からの風味を受けて、まろやかな風味となります。この工程が先日もご紹介した「チャコールメローイング」と呼ばれる製法になります。IMG_6209

(写真の上の錆びた感じの管から1滴1滴ウイスキーが滴り落ちています)

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先日の展示会では、チャコール・メローイング製法でろ過される「前(=白のラベル)」と「後(=黒のラベル)」を試飲しました。

カップの中には同じような透明な液体が入っています。が、まったく異なる味に驚き、ろ過される前の「生きた」感じと、「後」のウイスキーのまろやかさは驚きました。

この後、樽の色がついて美しい琥珀色に変るのです。

貴重な体験をさせていただきました。

 

さて、あすは「カナディアン・ウイスキー」について。アメリカの独立戦争後、イギリス系の農民たちが北のカナダに移住することからその歴史が始まります。

 

 

ウイスキーの歴史(アメリカン・ウイスキー②)

2015.06.09.


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部長 月田です。

 

久々に「ウイスキーの歴史」シリーズを書き始めます。

 

【前回までのおさらい】

アメリカにおけるウイスキー作りは、アイルランドやスコットランドから入植した蒸留技術者がペンシルバニアやバージニアなどに住みついたことから始まります。

彼らは18世紀にはライ麦を育て、ライ麦のウイスキーづくりを始めました。

1775年、独立戦争が勃発しました。イギリス軍との戦いの結果、勝利を収めましたが、独立戦争後の経済の立て直しを図る為に政府が彼らの作るウイスキーに課税を強行しました。

彼ら蒸留業者は猛反発し、歴史に残る大反乱へと発展していきます。

 

【バーボン、誕生秘話】

反乱は軍隊の投入により鎮静されましたが、あくまで税金を払うのを嫌った一部の蒸留業者たちは、ペンシルバニアやバージニアの奥地、あるいはさらに西のケンタッキー、インディアナ、テネシーなどに移っていきました。

それまで、ペンシルバニアなどの東部の州でつくられていたウイスキーは、ライ麦や大麦を使ったものでしたが、ケンタッキーにはトウモロコシの方が適していることを発見し、それまでライ麦でウイスキーを作っていた蒸留業者は、トウモロコシをライ麦の補助ではなく、ウイスキーの主原料として使うようになりました。

1785年、当時はまだバージニアの一部だった今のジョージタウンに住む、エリージャー・クレーグ牧師は、酒の蒸留も手掛け、偶然にも内側が焼けた樽で貯蔵したウイスキーが香りも色もよくなっていることを発見しました。これがバーボンの始まりと言われていますが、他にも2,3の話しがあり、どれも証拠はなく、伝説めいています。が、18世紀後半から19世紀にかけてバーボン・ウイスキーが誕生したのは確かといえます。

 

【悪名高き”禁酒法”の到来】

1865年、南北戦争が終わると、北部の資本が南部にも入り、アメリカ経済は急速に発展し、ウイスキーづくりにも連続式蒸留機が使われるようになり、その生産量が大きく伸びました。

ジャック・ダニエル、ブラウン・フォーマン、エンシェント・エイジなど、現在も有名なブランドもこの時代に相次いで創業を始めました。

そのウイスキーの発展にブレーキをかけたのが、悪名高い「禁酒法」でした。

 「禁酒法」は1920年1月に施行されました。この背景には、ドイツ系移民の醸造界進出に対する反発や、植民地からの根強いピューリタニズム、女性の発言力が強くなったこよなどがありましたが、結果は、密造、密売によって、巨大な利益をあげるマフィアの勢力拡大を助長するだけで、飲酒の抑制にはなりませんでした。むしろ、その間にカクテルも普及し、アメリカ独特の酒文化を生むことになりました。

 

【月明かりで作られた密造酒、それがアメリカン・ウイスキー】

禁酒法が実施されている間、密造業者たちは、月明かりのもとで密造したため、密造業者はムーン・シャイナー、密造酒はムーン・シャインと呼ばれました。

 ウイスキー業者は、禁酒法廃止後、比較的短期の間に回復し、蒸留法も効率の良い連続式蒸留機だけに変わり、単式蒸留機はほとんど姿を消しました。

アメリカのウイスキーは、蒸留法だけでなく。醸造法も独自のスタイルを作り出し、スコッチ・ウイスキー、アイリッシュ・ウイスキーとは全く別のタイプのウイスキーとなっています。

 ベトナム戦争後は、自然回帰や健康への関心が高まり、ワイン・ブームが起こり、ウイスキーの需要が落ち、1990年代には白モノと呼ばれるホワイト・スピリッツの伸びに負けています。が、1990年代に入り、カルフォルニアを中心にバーボンの人気も回復が見られ、近年のバーボンブームはまだ続くようです。

先日、当店のアメブロにおいてもSuntoryの「ジン・ビーム」やキリンの「フォア・ローゼス」などのバーボンの蒸留所増強という発表を受けて、その人気について書きました。

ぴぐぷらすでバーボンを飲むならば、「赤ぴぐハイボール」。

メーカーズマーク・レッドトップを最高に美味しいハイボールで召し上がって下さい。

 

では、次回は独自のスタイルをもつ「アメリカン・ウイスキー」とは?に迫っていきます。

 

 

ジャック・ダニエル

2015.05.26.


 

 

部長 月田です。

先日の展示会で「ジャック・ダニエル」のブースにおいて、テネシーウイスキーの伝統的な製法である「チャコールメローイング製法」について説明を受けました。

 

【テネシーウイスキーであることの条件】

 

「ジャック・ダニエル」がバーボンと区別されテネシー・ウイスキーと分類されているには他のウイスキーとの違いを生むのに、重要な工程があります。

①テネシー州でつくられていること

②チャコールメローイング製法で作られていること

この製法を守り続けたことで、世界最高級のウイスキーとして認められ、彼の蒸留所と木炭で濾過され樽で熟成されたウイスキーの認知度が高められました。

 

この製法を確立させたジャック・ダニエルは実在の人物。

7歳で働き始めたジャックは、蒸留所のオーナーでもあった牧師からウイスキー造りの全てを学び、わずか13歳で蒸留所を譲り受けました。当時から木炭で濾過する工程を重視していました。各地の蒸留所が手間とコストを省くためにこの製法を辞めていく中、改良を重ねて独自の「チャコールメローイング製法」として完成させました。

 

【チャコールメローイング製法】

実際のチャコールメローイング製法を再現しているところを撮影してきました。

まずは、ガラス面の中の錆びた管から1滴、1滴ウイスキーが滴り落ちてきます。

ウイスキーの滴が落ちる先には、敷き詰められた大量の石炭があり、これによりゆっくりと濾過されます。

ジャック・ダニエルの蒸留所では4Mの木炭が積み上げられ、12日間かけて濾過を行っています。

この木炭も創業者ジャック・ダニエル氏の独自の方法で屋外での木炭の製造を実現しました。

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この「チャコールメローイング製法」の前後のウイスキーを呑み比べすることが出来ました。

カップの中には、前・後のどちらにしても透明な液体。ラベルの書かれた「AFTER」と「BEFOR」の文字でどちらかが判断できます。

そして、この液体を試飲すると、全く別物であることを感じます。

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【ジャック・ダニエル、完成】

チャコールメローイング製法で濾過された透明なウイスキーが、テネシーの丘に点在する貯蔵庫で、ジャック・ダニエルは何年もかけて熟成されます。

季節の変化で気温が上下するたび、樽は膨張と収縮を繰り返し、これに合わせてウイスキーがホワイト・オークの樽に沁み込んだり押し出されたりして、木の成分を取り込んでいきます。

こうして、ウイスキーのフレーバーと深い琥珀色が誕生します。

【ジャックダニエルは、柔軟です】

展示会で色々と説明してくれた営業の方によると、「ジャック・ダニエル社は柔軟ですよ」と話していました。

ウイスキー作り関しては、頑ななまでに製法を守り続けているものの、世界の市場でのジャックダニエルの立ち位置を確認しながら、販売方法については各国の提案に柔軟に対応。

現在世界的に、酒に対して「軽さ」が求められるようになり、ジャックの炭酸割りの吞み方を推奨し、「ジャックソーダ」「ジャックコーク」「ジャックジンジャー」をメインで販売数量を伸ばす努力をしているそうです。

 

「ジャック・ダニエル」のファンではないのですが、展示会のブースで「チャコールメローイング製法」について質問した営業マンが「よくぞ聞いてくれました!!」と丁寧に説明をされ、吞み比べでの体験があって、更に興味が湧き調べていました。

真摯に作り続けるウイスキーの背景を知ると、更にウイスキーが美味しく感じます。

 

 

【ジャパニーズ・ウイスキー・フェア】

2015.04.17.


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マッサン部長 月田です。

朝ドラ「マッサン」の放送でウイスキー作りを映像で見ることが出来たことは、ウイスキーを楽しむ層を広げることに貢献したのではないかと思っています。最近、「竹鶴ノート」などの資料を読みますが、やはりマッサンのシーンを思い出すことで、より自分の言葉としてブログを書くことが出来ます。

 

【日本のウイスキーが、こんなに美味しくなっています】

1920年5月、いまから95年前に日本からスコットランドに渡りウイスキー作りを学んだ実習報告書である「竹鶴ノート」には、客観的に見る労働環境について、帰国できる日を待ち遠しく気持ちなど様々なものが2冊のノートびっちりと書きつづられています。

「ひとりでも多くの人に

本物のウイスキーを

飲んでもらいたい」

竹鶴政孝の作りだした「竹鶴」は、いま世界で本場スコットランドのウイスキーよりも評価が高く、金賞を受賞し続けています。

改めて、日本のウイスキーをぴぐぷらすのお客様にも味わって頂きたいと思いました。

受賞した作品は、バーテンダー佐藤哲也が最高にしてお出しします。

 

【ジャパニーズ・ウイスキー・フェア】

①対象商品の「竹鶴」「白州」をご注文頂くと、「竹鶴グッズ」が当たるくじ引きが出来ます。

 

②「白州」「竹鶴」に合う新メニューも2品登場させました。

☆春キャベツとフレッシュハーブのガーリックオイルサラダ

一口で「白州」と合うと、わかって頂けます。ガーリックをゆっくりと油で香りだしするため、少々お時間がかかります。が、燻製した醤油と梅干しが芳ばしさを演出する酒のみの方には絶品のおつまみです。

 

☆最後の一滴まで食べ尽くせ!豚肩ロースのスパイス煮込み(パン付き)

スプーンでほぐれるほど煮込んだ豚肩ロースに、スパイスの香りがよく染み込んだスープ。

酸味の効いたキャベツの味まで食べ尽くしたくなります。

 

~4/30(木)まで開催中です。

ウイスキーの歴史(アメリカン・ウイスキー①)

2015.04.07.


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部長 月田です。

【消費者のし好の変化】

これは新しい洋酒の銘柄の出現を促し、BARという形態にも広がりをもたらしています。

例えば、BARの顧客の飲酒動機の変化。バブル経済が華やかだったころに世界の銘酒に接したお客様は、

今、よい酒をホスピタリティに満ちた潤いのある人的なサービスを受けながら、リーズナブルな価格帯で楽しもう

と望んでいます。銀座でバーテンダーとしてそれを肌で感じていた店主・佐藤哲也は、

地元・練馬で「美味しいお酒と美味しいフード」が両立するBARを作ろうと考えました。

 

【この時代に、ぴぐぷらすはなぜ「ハイボール屋」なのか?】

「美味しいお酒には、必ず美味しいおつまみが必要である」と考えていたことから選んだのが、ハイボール。

何より佐藤哲也自身がハイボール好きであったこと、

そして食事をしながら”気軽に”呑めるという理由から選びました。

更に、そのことを基本として厳選した3種のウイスキーをベースにして、

オリジナルハイボールである「赤ぴぐ」「白ぴぐ」「緑ぴぐ」が誕生しました。

今回はその中の一つ、「赤ぴぐ」がベースの「アメリカン・ウイスキー」について。

 

【アメリカの酒の歴史は”果物”で始まった】

アメリカの蒸留酒の歴史は、イギリスによる本格的な植民地の開拓後まもなく、

日本は江戸時代の始まりを迎える、1600年代の初めまでさかのぼります。

1620年、メイフラワー号でピルグラム・ファーザーズがマサチューセッツのコット岬に着いた時、船には酒も積まれていました。

移民たちは、果物や穀物などから酒を作ったのですが、最初の蒸留酒は穀物ではなく、果物などを原料としたブランデー(アップル・ジャックなど)や、カリブ海の島々で作られていた砂糖の副産物の糖蜜を使ったラムを蒸留、いわゆる奴隷売買で有名な三角貿易に乗り出しています。

 

【”穀物”のウイスキーの発祥の地は、ペンシルバニアだった】

1808年の奴隷制度廃止とともに、ラムに代わり、穀物の酒が主体となり始めます。

当時、穀物が余剰気味でもあり、その他の諸事情も加わり、穀物を原料とした酒造りがペンシルバニアを中心に始まりました。

これは、ウイスキーの蒸留技術を持ったアイルランドやスコットランドからの入植者が、主にペンシルバニアやバージニアに住みついたからで、彼らは、18世紀にはそこでライ麦を育て、ライ麦のウイスキーを作り始めました。

 

【”ウイスキーの乱”!!】

1775年、独立戦争が勃発。イギリス軍との苦しい戦いの末、アメリカは独立を勝ち取りました。

が、独立戦争後の経済の立て直しを図る政府が、彼らの作るウイスキーに課税を強行しました。

彼ら蒸留業者は猛烈に反発し、歴史に残る大反乱へと発展していきます。

(これがアメリカ独立後初の民衆蜂起「The Whisky Rebellion、ウイスキーの反乱」事件です)

軍隊により鎮圧された反乱軍が”税金逃れ”のために出た行動が、

「アメリカン・ウイスキー」の歴史を作ることになっていきます。

 

さて、次回は、偶然も重なって誕生した「バーボン」についてお話します。

ウイスキーの歴史(アイリッシュ・ウイスキー)

2015.04.03.


部長・月田です。

この「ウイスキーの歴史」を書き続けている間に、朝ドラ「マッサン」は最終回を迎えてしまいましたが、今日は、新聞記事に「竹鶴ウイスキー」のチョコレートがメリーチョコレートより発売が決まったという記事が掲載され、色々な方面でウイスキーに目を向ける層が広がっていることを日々感じます。

では、早速

【アイルランド島は、スコットランドよりウイスキー作りの歴史が古かった!!】

さて、アイリッシュ・ウイスキーとはどんなウイスキーなのでしょうか?

それは、イギリスにブリテン島の西に位置するアイルランド島で作られるウイスキーのことを言います。

ウイスキー作りの歴史はスコットランドより古く、1172年、アイルランド遠征のイギリスのヘンリー2世の軍隊が、ウイスキーの前身とみられる蒸留酒を見たと記録に残しています。

【ウイスキーなのに、スモーキー・フレーバーは無し!!】

ウイスキーの生産は、政治や宗教、あるいはスコットランドのD.C.Lのマーケティング戦略などで一時衰退しましたが、第二次世界大戦後は、ライト・タイプのカナディアン・ウイスキーの伸長とともに、ライト・タイプ・ウイスキーの一翼として、広く呑まれるようになってきました。

アイリッシュ・ウイスキーの特徴は、

①大麦による芳香性が高いこと

②ピートによるスモーキー・フレーバーが無いこと

③大型の単式蒸留機で3回蒸留してできるボディの滑らかさ

アイルランドでは、スコットランドと違い、麦芽を製造するときにピートではなく、石炭を使用します。

石炭が豊富にあり、扱いやすかったという理由、スモーキー・フレーバーを付けないウイスキーという特徴が生まれました。

 

【税金対策で作られた、アイリュシュ・ウイスキーのスタイルとは・・・?】

原料には大麦麦芽のほかに、未発芽大麦やライ麦、小麦なども使います。これは、今から150年ほど前のこと、麦芽にかけられる高い税金対策として、麦芽の量を減らし、国内に大量にあった大麦を使いました。

このことで、大麦の香味成分が出て、アイリッシュ・ウイスキーのスタイルを確立することになりました。

【アイリッシュ・ウイスキーの滑らかさの演出方法】

①蒸留方法が違う!!

アイリッシュ・ウイスキーは、3回蒸留します。

1回目は粗蒸留液を取る、2回目に再度釜に移して、蒸留することで最初に出てくる濃度の高い留液を、3回目の蒸留釜へ移し、スコッチ・ウイスキー同様に、真ん中の部分の留液のみを熟成樽に戻します。

再留のときの残りの留液は初留釜へ戻します。また、3回目のときのヘッドとテールの部分の留液も再留釜に戻されます。

こうして取り出された蒸留液は85%ほどの濃度となります。が、濃度が濃い分、副成分が少なく、スコッチ・モルト・ウイスキーよりもいくぶん軽めのウイスキーとなります。

②熟成

熟成は、バーボンヤラム、シェリーなどの樽、あるいはホワイト・オークを使い、スコッチ同様に3年以上の熟成をさせます。

このようにして出来たアイリッシュ・ウイスキーは、アイリッシュ・ストレート・ウイスキーと呼ばれます。スコッチのシングル・モルト・ウイスキーに比べればまろやかで、滑らかな舌触りですが、それでもウイスキーに充分コクがあります。

そのため、ライト化嗜好の流れの中で、アイリッシュ・ウイスキーもグレーン・スピリッツの使用を1970年から始め、アイリッシュ・ブレンデッド・ウイスキーが登場しました。

スコッチのブレンデッド・ウイスキーよりも、スモーキー・フレーバーがないだけに、はるかにライトですっきりしていて人気が出てきていますが、世界のウイスキー市場でのシェアはごくわずかというところです。

 

さて、次回はスコットランドやアイルランドの入植者が歴史の始まりである「アメリカン・ウイスキー」について解説します。

 

ウイスキーの歴史(スコッチ・ウイスキー続きの続き)

2015.03.26.


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部長 月田です。

この写真は、ブログを書く際に参考資料として使っている「竹鶴ノート」にあるスコットランドの地図です。

「竹鶴ノート」とは、「マッサン」こと竹鶴政孝が1920年5月にスコットランドでウイスキー作りを学んだことをが詳細に書かれた記録です。

「ポットスチル・ウヰスキー製造方法に就いて」というタイトルが最初の1ページに書かれています。

その1pに描かれた手書きの地図、整った文字と正確な地図。

ここから「ジャパニーズ・ウイスキー」が始まりました。

 

【モルト・ウイスキーの生産地で分けられた特徴】

前回も書いたように、生産地名が、そのままモルト・ウイスキーのタイプ名にもなっています。しかし、現実には、個々の蒸留所により個性は大きく異なっています。

①ハイランド・モルト(Highland Malt)

グラスコー市西部のグリーノックとダンディーを結ぶ線から北を、通常ハイランドといっています。

蒸留所は、北部のオークニー諸島を皮きりに、ネス湖に近いインバネス周辺、別タイプのモルト・ウイスキーとも見られっるくらい蒸留所の集中しているスペイ川流域のスペイサイド、そして、西南部のジュラ島や、最近包括されたキャンベルタウンまでの広大な地方に点在しています。

ハイランド・モルトの特徴は、全体的にみれば力強さの中にバランスを保った辛口で、ピート香もおだやかなものが多く、その中でも、スペイサイド・モルトは、洗練されたエレガントさと、磨き抜かれたピート香を持ったモルトが特徴となっています。

また、キャンベルタウンのモルト・ウイスキーは、アイレイほどではありませんが、ピーティーなクリーミーさが特徴です。

 

②ローランド・モルト(Lowland Malt)

ハイランドの境界線より南に広がる地方で、気候もいくぶん温暖で、そのモルトも、ハイランド・モルトに比べると、ピート香も少なく、ソフトでメローなモルト・ウイスキーといえます。

 

③アイレイ・モルト(Islay Malt)

現在では、日本でも現地式の発音でアイラと呼ぶことが多くなりました。スコットランドの西、大西洋に浮かぶ島のモルト・ウイスキーである。強いピート香を持ち、ヘビー・タイプのものが多くなっています。蒸留所は8か所にあります。

 

【グレーン・ウイスキーとは・・】

今朝(3/26)の朝ドラ「マッサン」で、宮城峡の図面を娘のエマに見せる際にグレーン・ウヰスキーの蒸留所を建設することを計画を話しながら、ウヰスキーの特徴についても語っていました。改めてスコッチ・ウイスキーのグレーン・ウイスキーとは、モルト・ウイスキーのような小規模の蒸留所ではなく、大規模な蒸留所で、トウモロコシ、または小麦を原料に、連続式蒸留機で作られます。

グレーン・ウイスキーは、ピート香を付けずに、高いアルコール濃度で蒸留されるので、風味はソフトでマイルドになります。また、モルト・ウイスキーのように蒸留所ごとの個性も弱くなります。

現在、蒸留所はハイランドに1か所、ローランドに7か所あり、いずれも近代的な設備を持った巨大蒸留所です。

 

【ブレンデッド・ウイスキーとは・・】

先日、「竹鶴17年」が世界で評価されました。

それは「ブレンデッド・ウイスキー部門」で金賞受賞という快挙を成し遂げました。

受賞した「竹鶴17年」などの「竹鶴」は余市蒸留所と宮城峡蒸留所で作られた50種類以上のウヰスキーをブレンダーの手で選ばれ、バッティングさせて作られたブレンデッド・ウイスキーになります。

ブレンドの目的は、さまざまなタイプのモルト・ウイスキーの荒削りな味を、グレーン・ウイスキーのニュートラルな軽い味でまとめて、多くの人々に受け入れられる、飽きのこないウイスキーに仕上げることです。

一般的に、ハイランド産の複雑でエレガントなモルト・ウイスキーをベースにして、ローランド産のモルト・ウイスキーで滑らかな舌触りを出し、辛口のピートの風味を持ったアイレイなどのモルト・ウイスキーをアクセントにつけ、ブレンドして、バランスの取れたウイスキーを作りだします。

 

【ブレンデッド・ウイスキーの品質の違いは、ブレンド比率にあり】

ブレンドの比率は各メーカーとも、だいたい次の4タイプに分けられます。

①デラックス

ブレンデッド・ウイスキーの最高級品といえます。通常15年以上の年数表示を持ち、モルト・ウイスキーの配合比率も50%以上と高いものが多くなります。・・ぴぐのバックバーには「竹鶴17年」「竹鶴25年」があります。

 

②プレミアム

高級ブレンデッド・ウイスキーといえます。年数表示12年以上のものになります。モルト・ウイスキーの配合比率も40~50%となっているものが多くなります。・・・ぴぐのバックバーには「デュワーズ12年」、「桜ハイボール」や「再会のハイボール」で味を確かめて頂けます。

 

③セミ・プレミアム

モルト・ウイスキーは,10~12年のを40%前後使い、グレーン・ウイスキーもよく熟したものを使っていますが、年数表示はしません。・・「白ぴぐハイボール」のベースである「デュワーズ」で。

 

④スタンダード

ブレンドによりかなり差がありますが、モルト・ウイスキーは6~10年程度のものを30~40%ぐらい使用しています。

 

ブレンデッド・ウイスキーはブランド間にかなりの品質の差があります。が、モルト・ウイスキーほどではなく、全体的にバランスがよく、ライトでスムーズ、気軽に楽しめるウイスキーといえます。

 

【さ~て、次回は・・】

アイルランドはスコットランドより蒸留酒の歴史が古く1172年にその記録があります。そのアイルランドで作られる「アイリッシュ・ウイスキー」について。

ウイスキーの歴史(スコッチ・ウイスキーの続き)

2015.03.18.


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部長 月田です。

昼吞み文化を広めるために、毎日開店3時13秒からお待ちしています。

さて、昨日は最後にひとつの蒸留所で、またはいくつかの蒸留所でバッティングしたウイスキーを「ピュア・モルト・ウイスキー」ということについて書きました。

今日は「ピュア・モルト・ウイスキー」について書いていきます。

「ピュア・モルト・ウイスキー」の輸出品の中には、

・オール・モルト・スコッチ・ウイスキー

・アンブレンデッド・スコッチ・ウイスキー

という表示をするものがあります。

 

【「ピュア・モルト・ウイスキー」の数】

蒸留所の数が100ほどありますが、シングル・モルトを売り出さないところも4~5か所あります。

また、ウイスキーの瓶詰めは、全て蒸留所でする訳ではなく、半数近くは瓶詰業者に売られていきます。

それらの業者は自分のところの樽、たとえばシェリー樽などで熟成させ、特別の製品に仕上げる場合があります。

このため」、蒸留所の数は100ほどですが、シングル・モルトやヴァッテッド・モルトの銘柄は3倍にも4倍にもなると言われています。

また瓶詰業者でも、ゴードン&マックフェル社、ウイリアム・ケイデンヘッド社などは、独自の統一ラベルで希少なシングル・モルトを瓶詰めして販売しています。

 

【「ピュア・モルト・ウイスキー」の地域】

スコットランドは北海道に匹敵する広さを持っています。その広大な土地に、モルト・ウイスキーの生産地は、ハイランド、ローランド、アイレイ、キャンベルタウンの4つに大きく分けられていました。が、現在は、大きくハイランド、ローランド。アイレイの3つに分け、更に、ハイランドをスペイサイドとオークニー諸島からキャンベルタウンまでを含むハイランドに分けています。

また、この生産地名が、そのままモルト・ウイスキーのタイプ名にもなっています。しかし、現実には、ここの蒸留所により個性が大きく変わっています。

 

【「竹鶴ノート」より】

『同じ「スコットランド」においても地方に依って「ウヰスキー」の芳香を異にしいづれも各自の特長を発揮しております』と記しています。

次回は地域の特徴について書いていきます。

 

ウイスキーの歴史(スコッチ・ウイスキー)

2015.03.17.


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部長 月田です。

今日からは「スコッチ・ウイスキー」について書いていきます。

朝ドラ「マッサン」では、放送開始頃にはスコットランドへ留学して学んだウイスキー作りが描かれていました。

そのイギリス北部にあるスコットランド地方で熟成・蒸留されたウイスキーの総称になります。

スコッチ・ウイスキーの特徴は、麦芽を乾燥させる際にピートを使用するため、ピートに由来する独特のスモーキー・フレーバーがついていることにあります。

スコッチ・ウイスキーの定義としては、「穀物を原料として、酵母により発酵させ、95度未満(94.8度以下)で蒸留を行い、木の樽で最低3年以上熟成させたもの」とさせています。

スコッチ・ウイスキーの歴史は、前にも述べましたが、遅くとも15世紀には始まるとされています。その後、数々の歴史的過程を経て、今から150年ほど前に、連続式蒸留機の誕生により、モルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーの分化があり、さらに140年ほど前にブレンデッド・ウイスキーが誕生すて、産業として発達しました。第二次世界大戦後は、世界的に愛飲されるようになり、急激な伸びを示し、現在に至っています。

現在、スコッチ・ウイスキーは製法上から3つに分類されています。

①モルト・ウイスキー

②グレーン・ウイスキー

③ブレンデッド・ウイスキー

「モルト・ウイスキー」とは、大麦麦芽だけが原料で、通常、発酵後、単式蒸留機(Pot Still)で2回蒸留し、ホワイト・オークの樽でじっくりと熟成させたウイスキーのことです。

こうしたモルト・ウイスキーの蒸留所(ディスティラリー Distillery)は約100ありますが、稼働しているのは約80か所。そして、蒸留所ごとにピートの炊き込み具合から、蒸留釜の形状、樽熟の仕方まで違うため、生まれてくるウイスキーの性格がそれぞれ違います。つまり、蒸留所の数だけ、タイプの違うモルト・ウイスキーがあるといえます。

このように個性のひとつひとつ違うウイスキーを、他の蒸留所のものとブレンドしないで、個々の蒸留所内でのバッティングのみで商品化したものをシングル・モルト・ウイスキーといいます。

シングル・モルト・ウイスキーと同じような言葉に、ピュア・モルト・ウイスキーがあります。これはひとつの蒸留所のモルト・ウイスキー同士をバッティングしたシングル・モルト・ウイスキーと、いくつかの蒸留所のモルト・ウイスキー同士をブレンドしたヴァッテッド・モルト・ウイスキーの両方に分かれます。

FBページでも書きましたが、「竹鶴」も”余市”と”宮城峡”の二つの蒸留所のモルト・ウイスキーをブレンドしたヴァッテッド・モルト・ウイスキーになります。

ただ、先日世界大会で表彰された「竹鶴」はピュア・モルトという商品名をつけています。

佐藤哲也が考える理由として、日本人の響きに対するイメージではないか、ということです。

ブレンダーが掛け合わせた美味しいウイスキーを、今日もどうぞ。

 

 

ウイスキーの歴史(日本のウイスキーの特徴)

2015.03.10.


赤ぴぐとミモザ

部長 月田です。

昨日頂いた「ミモザ」の花。

店内に飾ると、そこは春。

希望を感じる、黄色の花。

しっかりと感謝の気持ちを忘れずに歩んでいきます。

ありがとうございました。

早速、今日は「日本のウイスキーの特徴」について。少し前の回でも書いたように日本のウイスキーは基本的にはスコッチ・ウイスキーに似ていながら、スコッチ・ウイスキー特有のクセ(スモーキー・フレーバー)をソフトに抑え、水割りにしても伸びの効く香味を持つということですが、もうひとつ、モルト・ウイスキーまたはグレーン・ウイスキーに、アルコール、スピリッツを加えたものもウイスキーとされることです。

平成元年4月に改正された酒税法では、ウイスキーの定義を次のように下しています。

<酒税法第3条からの抜粋>

イ 発芽させた穀類および水を材料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の蒸留時のアルコール分95%未満のものに限る)。

ロ 発芽させた穀物および水によって穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の蒸留時のアルコール分95%未満のものに限る)。

ハ イまたはロにあげる酒類に、アルコール、スピリッツ、香味料、色素または水を加えたもの。但し、イまたはロにあげる酒類アルコール分の総量が、アルコール、スピリッツまたは香味料を加えた後の酒類アルコール分の総量の10/100未満のものを除く。

つまり、大麦麦芽に代表される発芽させた穀類を原料の一部、または全部として、アルコール度数95%未満で蒸留した酒が、ウイスキーということになります。このうちイにあてはまるのが、モルト・ウイスキーという表記がラベルに記されます。ひとつの蒸留所だけの場合は、シングル・モルト・ウイスキーといえます。

ブレンデッド・ウイスキーについては、日本の場合、イとロをブレンドしたもので、これは大部分を占めています。が、更に、酒税法によりアルコールなどを加えたものもブレンデッド・ウイスキーとされています。が、その際、イまたはロの酒類がどの程度混和されていなければならないかを規制しているのがハになります。

ウイスキーに使用されているスピリッツやアルコールは次のようになります。

・グレーン・スピリッツ~トウモロコシなどの穀物を原料に、酸素剤を用いて糖化、発酵させ、連続式蒸留機で、アルコール分95%以上で蒸留されたもの。穀物由来のうま味が、グレーン・ウイスキーより少ない。ウイスキー以外にもジンやウォッカにも使われる。

 

・ブレンド用アルコール~原料としては、通常、ラムと同じ糖蜜が使われる。これを発酵後、連続式蒸留機でアルコール分95%以上で蒸留する。きわめておとなしい中性的な性格を持ちます。

 

日本では、これを酒類の製造途中で使うと、酒税法上「原料用アルコール」、「ブレンド用アルコール」と呼ばれます。

また、ウイスキーのラベルには、原材料「モルト、グレーン」という表示がみられますが、これは、モルトは「麦芽」、グレーンはトウモロコシなどの「穀類」を意味するもので、モルト・ウイスキーやグレーン・ウイスキーを意味するものではありません。

さらに、製品によってはラベルに年数表示をしたものもあるが、これは使用した原酒のうち、もっとも若い貯蔵年数のものを表示しています。

次回は、いよいよ「スコッチ・ウイスキー」についてです。

朝ドラ「マッサン」も1カ月を切りました。

この数日、ウイスキーを戦火から守り続けたマッサンの思いが伝わるシーンが続いています。

 

 

 

 

 

 

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